10月の初旬に日蓮宗の総本山(祖山)である身延山久遠寺へ参拝に行ってきました。先日書いた御朱印集め記事とセットで読んでいただければと思います。
久遠寺を訪れたのは3連休の最初の日、場所をあんまり調べずに行ったんですが、山梨県の中信市街地(甲府駅)から結構離れているんですね。
私は長野から中央自動車で久遠寺へ向かったんですが、双葉JCTから中部横断自動車道経由で1時間ほどかかりました。双葉JCTまで行けば数十分で着くと思っていたんですが、身延山は結構山深いところに位置しています。
電車でも甲府駅からJR身延線特急で1時間ほどで身延駅に着くようです。
一般的には身延山有料駐車場に車をとめて参拝。といった形が多いようですが、迷いながらたどり着いた駐車場はあまり知られていない甘露門無料駐車場。職員の方がメインで使っているようですが、現地で聞いたら一般参拝客でも駐車OKとのことでした。駐車料金かからなくてラッキー。ただ、この駐車場は早くとめないとすぐに一杯になってしまいます。職員メインのために車の動きもほとんどないため、止められたらラッキーぐらいに思っておいたらいいと思います。
甘露門をくぐり、参拝スタート
時間は8時半と早かったこともあり、参拝客もまだまだまばらでした。職員の方がほうきを掃いて掃除をされていましたが、学生さんだったのかな?とても若かったです。身延山大学・高校学園が併設されているので学生さんだったのかもしれません。
甘露門をくぐると明治10年(1877年)に建立された時鐘が存在感を見せつけます。
鐘楼自体は昭和27年に焼失してしまい、永田雅一氏によって再建されたようですね。永田雅一さんは昭和初期に活躍した大映の社長を務めていた映画プロデューサーで、プロ野球オーナー兼馬主さんでもあったようです。
なんでそんな方が再建を?と思ったら熱心な日蓮宗信者だったようです。見るのを忘れてきたんですが、母紀美さんの銅像も境内に建立されており、霊場のしかも総本山に個人をモデルとした銅像が建立されていることは非常に珍しいことのようです。
本堂へ向かって歩いていくと、立派な仏殿(仏堂)が現れます。日蓮宗って他の宗派と変わっているのでまだ不勉強でよく分かっていないんですが、ご本尊としての仏像ってあるのかな?
日蓮宗のご本尊としては日蓮聖人御真筆大曼荼羅御本尊が有名ですね。参拝した日は10月10日だったんですが、11日~13日までの三日間は日蓮聖人御真筆曼荼羅御本尊の特別公開が行われていたようです。
見たかった...
仏殿の隣には立派な鬼瓦が展示されています。獅子口瓦といって、仏殿納牌堂の大棟西側に以前備えられていたものです。2012年に屋根瓦を銅版に葺き替えるまでの約80年間、屋根の上にあったようです。高さは2.8mなので近くで見るとかなり迫力があります。
地震が多い最近のニュースなんかを見ていると、こんなに重いもの乗せて耐震性大丈夫?なんて心配してしまいます。
仏殿の右をみると、客殿という建物が見えます。お客さんをとおしたりする建物なのかな?
御真骨堂の拝殿。奥には御真骨堂があります。
祖師堂は日蓮聖人の神霊を祀る堂閣で「棲神閣」と称しています。写真を並べてみると、祖師堂は御真骨堂の拝殿に非常によく似ていますね。ひとまわり大きくしたような建物です。
常香炉で煙をあびて身を清めていると
天井には見事な龍の彫り物が!細工が細かくて見とれてしまいますね。
そうそう、参拝する前には手水舎でも身を注ぎましょう。本殿の前には手水舎と立派な五重塔!さすが総本山。スケールが違います。
御朱印帳(御首題帳)が欲しい場合は、手前に売り場があります。
御首題は祖師堂の隣にある報恩閣でいただくことができます。
久遠寺の参拝をひととおり終えたら、見損ねた三門かロープウェイを使って奥の院へ向かいます。今回は奥の院を参拝して、日蓮聖人の祖廟を見て、一番最後に山門を見て回ります。
ロープウェイを使って奥の院思親閣へ
この日のロープウェイは20分間隔で運行していました。歩いても行けるようですが、片道2時間以上かかるようですので、歩くのはあきらめロープウェイで奥の院へ向かいます。
往復1400円と結構お高い!御朱印ももらって回っているため、お金が結構飛んでいきます。でも2時間歩くんだったら1400円は高くない!はず
ロープウェイを使えば6~7分であっという間に頂上です。
山頂駅へ到着するとすぐに奥の院です。
日蓮聖人の像がありました。
そうそう、日蓮聖人の場合は”聖人”という漢字が使われますが、上人との違いは何なんでしょう?せっかくなので少し調べてみました。
聖人と上人の違い
『岩波仏教辞典』によると、次のように書かれています。
上人
・すぐれた人、高徳の人の意。仏や仏弟子を指す場合もある
・高僧や修行の進んだ聖者の尊称として用いられるのが本来の用法である
一方聖人です。
聖人
仏教では仏・菩薩や見道以上の位にある聖智を得た聖者の呼称として用いられてきたが、次第に一般化し敬称として使用されるようになった
聖人には仏教では「仏」という意味もあるようで、それが一般化して僧侶の敬称の上人よりも一段高い尊称として使われることが多いようです。
日蓮宗では絶対的な立場である宗祖日蓮だけは「日蓮聖人」、「日蓮大聖人」と呼んで、それ以降の弟子については例外なく「上人」と呼んでいるようです。
宗派を超えての統一的な見解はなく、使い分けは宗派によっても異なるようで、浄土宗では「法然聖人」と書くことなく、「法然上人」で統一されているようですね。
ちなみに、聖人と大聖人はほとんど同じ使われ方をするようです。位に差はほとんどないと考えてもいいでしょう。
日蓮聖人お手植えの4本杉
思親閣に向かう階段の両側には日蓮聖人が植えたとされる4本の杉があります。
3~4人いないと幹に手が回らないほどの太い幹でした。700年以上経っているようなので立派ですね。
階段の先には思親閣の山門があります。両端には2体の金剛力士像が祀られている仁王門です。
手水舎
人も少ないのでゆったりと参拝ができます。思親閣祖師堂の正面には妙蓮尊尼七五〇遠忌の報恩回向柱が建立されています。回向柱にはもちろんひげ文字の「南無妙法蓮華経」の文字。
鐘楼や常護堂をひととおり、見てまわったらロープウェイを使って下ります。
日蓮聖人が過ごした祖廟へ
ロープウェイで下山したら、一度境内を出て日蓮聖人の遺骨が祀られている祖廟へ向かいます。さすが総本山、境内の周りには宿坊がたくさん。
10分~15分ほど歩くと祖廟に到着です。まわりには駐車場もありました。歩かずに車で来れば良かった...とも思いましたが、この後行く予定の三門のことを考えればこれである気でよかったのかも
日蓮聖人が眠る場所だけあって、境内はかなりの広さ
御主題は常唱殿でいただくことができますが、まずは参拝です。ちなみにこの常唱殿、廟塔に正対して建てられているようです。
手水舎(水屋)も久遠寺と比べると歴史を感じさせます。後ろに見えるのが法界堂。日蓮聖人がご在山の際に生活した御草庵を模して造られているようです。
先へ進むと拝殿が見えてきます。拝殿の下、階段の昇り口中央には見事な一本灯籠が。
拝殿の奥には祖廟がちらり。祖廟とは祖先の霊をまつる建物(御霊屋:みたまや)をいいます。
参拝を済ませて横へまわると、祖廟がしっかいと見えました。まわりを獅子で守られていますね。
拝殿のまわりをふらふらと写真を撮ってまわります。
祖廟の右奥には第二祖・佐渡阿闍梨日向上人以来の身延山久遠寺歴代上人の墓があります。
祖廟は人が少ないこともあって、ゆっくり見て回れました。実際に日蓮聖人が9年間過ごした聖地ですからね。久遠寺に行ったら是非祖廟も見てほしいです。
久遠寺・三門へ
最後に見逃していた久遠寺の三門へとまわります。道すがら、ハートを見つけて「おっさんなのに乙女だわ~」と独り言を言いながら写真を撮ります。
完全に危ない人ですね。
坂道を下っていくと三門はすぐでした。この圧倒的な大きさ。善光寺の山門にも感動しましたが、それに匹敵するような力強さでした。
山号「身延山」
三門の天井を見上げると玉のようなものが奉納されていたんですが、これはなんてものなんでしょう?
三門の御朱印もいただきたかったので、どこか参拝するところあるかなーと探していたら、こちらに小さく賽銭箱がありました。
広島県の宮島なんかではしゃもじが縁起物として名産にもなっていますが、久遠寺にもしゃもじがありました。
三門をくぐると石の階段目の前に現れます。この階段が菩提梯(ぼだいてい)です。 菩提梯は、高低差104mもある階段で、287段あります。
垂直のように延びていますね。みなさんヒーヒー言いながら登っておられました。
菩提とは、煩悩を断ち切って悟りの境地に達することをいい、 菩提梯には、悟り(さとり)に至る梯(きざはし:階段の意)の意味が込められています。
菩提梯の手前には日蓮聖人を招いた南部實永(なんぶさねなが)の銅像が祀られていました。日蓮聖人が住んでいた9年間、一族をあげて生活を助けていたようですね。
順序が逆になってしまいましたが、これで久遠寺参拝は終了。三門で終わるっていうのは変な感じがしてしまいますが、駐車場の位置がねえ。三門あたりに大きい駐車場があれば、スムーズに参拝ができるんですが、こればっかりは文句を言っても仕方ありません。
この後、もう少し時間があるんじゃ?と思いつつ、甲府駅周辺の神社へ参拝に向かったのでありました。