冬は空気が澄んでいて、写真好きとしては星空を撮りたくなる季節ですね。夏は夏で濃い天の川が見えるので撮りたくなります。つまりは年中星空は美しいってことですね(笑)
さて、今日は星の撮り方について。星を撮るには色々な方法があります。
- 星を点で止めた写真を撮る
- 長時間露光で星の軌跡を撮る
- 望遠レンズと赤道儀を使い、迫力ある星雲を撮る
今回は、「1.星を点で止めた写真を撮る」に限定した話です。天の川を撮ろうとするなら、どうしたって止めて撮りたいですもんね。
もわもわっとしか写ってませんが、一応天の川が撮れていますね。
では天の川を撮るためにはどんなレンズが必要なのかを考えていきたいと思います。
必要とされるレンズスペック
明るいレンズ
まず必要なのはレンズの明るさです。
F値と呼ばれるものですね。開放時のF値はレンズによって決まっているので、このF値が明るいもの。数字が小さいレンズが必要とされます。
F値=レンズの明るさ(数字が小さいほうが明るい)
レンズが明るいということはどういうことかと言うと、たくさんの光を捉えることができるということです。星の明かりはか弱いものなので、たくさんの星を写したければ、たくさんの光が捉えられる明るいレンズが必要とされます。
ちなみに上の星写真のレンズはF1.8です。F値は明るいものでほとんどが1.4止まりなのでF1.8はかなり明るい部類です。
本格的に天の川を取りたければF1.4のレンズ。最低でもF2.8の明るさがあると良いです。必要な明るさは、ボディーの高感度耐性やレンズの焦点距離にも依存する部分があるので一概にはいえません。
14mmなどの超広角レンズであれば、F2.8の明るさがあれば十分ですし、それより明るいレンズはほとんどありません。
星を撮りたければレンズの明るさが必要です。
広角レンズ
次に必要とされるのは広角レンズです。
広く撮りたいわけじゃなければ広角である必要はないんじゃないの?と思われる方も多いかもしれませんが、全く違います。
明るいレンズと高感度に強いカメラで撮っても20秒から30秒は露光しなくてはいけません。シャッター速度を20秒~30秒くらいにするっていうことですね。
ぐるぐるの星の軌跡を撮る写真であれば数時間露光し続けるんですが、点で止めたい場合はなるべく短い時間で星の明かりを捉える必要があります。
動かず止まっているように見える星ですが、日周運動をしていますので実は絶えず動いています。この動きは望遠であればあるほど目立ち、広角であればあるほど目立ちません。ですので点で止めて撮るには広角である必要があります。
この写真は、20mmのレンズで30秒のシャッター速度で撮った写真ですが、やっぱり星が流れちゃっていますね。ぐるぐると線になってしまっています。
天の川を撮りたければ広角レンズが有利です。
解像度の高いレンズ
最後に必要なのは解像度です。レンズのカタログスペックには無い項目ですね。
レンズの解像度とは、レンズが焦点面に結像した画像で、1mmあたり何本の線を識別できるかを表すものでる。
なんて言われますが、要はどれだけ細かいところまで撮ることができるかっていうことです。
一般的にレンズは絞る(F値をあげる)ことによって解像度を上げることができます。絞った方がカリっとした描写になりますよね。
しかしながら星を撮るときにはあまり絞ることができません。
なぜかというと、絞るということはシャッター速度が長くなる。ということは星を点で捉えることができなくなるからです。カメラが高感度に強いカメラかどうかでも異なってきますが、星を撮るときには絞り開放か一段くらい絞った状態で撮ることが多いです。
絞り開放でも解像度が高いかどうか。これを調べるには”MTF曲線”などを見たりする必要がありますが、ここでは詳しくはとりあげません。
でも何となく上の二つの写真はぼやーっとしてるなーっていう気がしません?そう、あんまり解像度が高くないんです。
星を捉えるためには解像度の高いレンズが必要。
では、どのレンズが星撮りに適しているの?
明るいレンズであり、できれば超広角。絞り開放時からばりばりに解像するレンズ。こんなのあるの?もちろんあります。
NIKONでいえば、”AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED”です。
又は24mmでありながら、F1.4を誇るこちらのレンズですね。
でも、皆さんが知りたいのはこんなことじゃないはず!高いお金を出せば、そりゃー良いレンズ、なんでも撮れるレンズは山ほどあります。そこそこのお値段のレンズでありながら、きちんと星を撮ることができる。そんなレンズをお探しですよね?
あるんですあるんですよ。こちらに。
Samyang 14mm F2.8 IF ED MC
SAMYANGという韓国メーカーのレンズですが、CANONでは3万円程度、NIKONでは何故か高くなってしまうんですが、3万円半ばで買うことができます。
このレンズは抜群の解像感で有名なレンズです。14mmと超広角なレンズであり、F値も大三元レンズとそん色ないF2.8。オートフォーカスは使えないのでマニュアルフォーカス(MF)のみとなりますが、そもそも星を撮るときにはピントはマニュアルで合わせるので問題ありません。
ただこのレンズの悪いところは歪みがひどいんですよね。建物は部屋を撮ったりするとすぐ分かるんですが、かなり歪みます。
デジカメinfoでもこのように書いてありました。
歪曲は、途方も無い大きさのタル型(5.3%)で、建築写真では後処理で補正しないと使いものにならない。しかし、風景写真ではたいていの場合は問題ない。
解像力のテスト結果には度肝を抜かされた。このレンズは、まさにズバ抜けた解像力だ。中央部は開放から素晴らしい(excellent)~極上(superb)の解像力で、周辺部と四隅もとても良い(very good)~素晴らしい(excellent)解像力。像面の湾曲はよく補正されている。
引用 デジカメinfo
上にも書いてあるとおり、風景や星を撮る場面では歪みはそこまで気になりません。被写体がまっすぐなものじゃないですしね。
ですので、星を撮るっていう点においては、歪曲はあんまり欠点になりません。
写真レンズ星空実写カタログ
星空や夜景を撮りたい人に向けた面白い本が2018年2月に発売されました。
その名も「星空撮影&夜景撮影のための写真レンズ星空実写カタログ」です。
在市販されている単焦点レンズ、絞り値F4より明るいズームレンズを実際の星空の下で実写テストし、その写り具合と性能について、仕様データとともに網羅的に紹介した書籍になります。
天体写真ファンをはじめ、これから天体写真を始めたい人、一般撮影で既にレンズを使っている人に最適な内容なんじゃないでしょうか。
まとめ
天の川を撮る。又は風景を撮る人にとって、SAMYANGの14mmは一本持っていて損はないレンズかと思います。
何しろ14mmのレンズってあんまり種類がないですし、あってもみんな高いですからね。SAMYANGはモノがあんまり無いので、買いたいときに買えなかったりするストレスはありますが、間違いなく満足できるレンズだと思います。
よく風景を撮りに連れて行ってくれる知り合いがいるんですが、みんなこのレンズ持っているんですよ。借りたいんですが、僕だけNIKON、なぜかまわりのみんなはCANONなのでいつも借りられなくって、楽しそうにSAMYANGを使っている姿を指をくわえて眺めているだけでした。
しかしこれからは僕にもこのレンズが!!
青くしすぎた…星のレタッチは未だよく分からんのう…
前に記事にしたSIGMAのこちらのレンズも星撮りにはおすすめです。高いけども。
参考 星を撮るのに最適!?「SIGMA 20mm F1.4 DG HSM」が知らぬ間に正式発表されていた。
星空撮影時に持っていたら便利なもの
星空撮影時、朝焼けを狙っているときもそうなんですが、いつのまにかカメラレンズに夜露が付着し、 レンズが結露してしまうことがあります。カメラレンズを温め、結露の発生を防止するカメラレンズヒーターは持っておきたい必須アイテムです。